インドとPasandの物語 Vol.2 –現場主義が生んだ信頼関係–
2024.02.15
インドとPasandの物語 Vol.2 –現場主義が生んだ信頼関係–
前回の記事で紹介した、Pasandのモノ作りをインドから支えているAMITの存在。ディレクターのMAMIがインドでビジネスを始めた当初から今まで、その関係は深まり続けています。AMITが「インドでビジネスを始めようとする多くの人々とMAMIは、まったく違うアプローチで仕事に取り組んでいた」と語るその実情を聞きました。
現場を訪れることで 手仕事の難しさと尊さを共有した2人
MAMI、MASARUがインドを訪れるたびにAMITの自宅を訪ねて家族とともに食卓を囲む。なぜ2人はビジネスパートナーとして、そして友人として深い信頼関係を結ぶことができたのか…。AMITがビジネスが始まったばかりのときの様子を教えてくれた。
「MAMIはまずブロックプリントの工場に出向き、印刷される現場を視察しました。インドでビジネスをしようとするほとんどの日本企業の人は、注文をしたら製品を待っているだけ。だけどMAMIは工場で働く人々が汗をかきながら作業する風景を目の当たりにして、その難しさ、その尊さを理解してくれました。そしてこの20年間、常にインドの生産現場に敬意を払い続けています。そういう人だから信頼してオーダーに応えることができているんです。僕の会社は当初とても小規模で、8〜10名程度のチームだったのですが、MAMIと出会ってからはそれまでの3倍、4倍のオーダーに対応する必要が生じました」
クオリティが常に一定以上なのは 職人を大切にするAMITの姿勢の賜物
AMITの経営する工場は、今でこそ4階建てのビル1棟の全フロアをフル稼働させて洋服を生産し、安定したシステムによって運営されている。しかし大学卒業と同時に創業して少人数で運営してきた会社にとって、いきなり降り掛かってきた大量のオーダーは困難を伴う挑戦であり、文字通り寝る間を惜しんでの作業が続いたという。
「当時のインドはお世辞にもクオリティが高いとは言えず、洗濯から荷造りまで毎日の作業のすべてを自分の目でチェックする必要がありました。そうしないと基準のクオリティに達しない品質のものが出荷される危険が常にあったのです」
対するMAMIも仕事を重ねるにつれてAMITへの信頼を深めていった。
共通の話題が多かったことが お互いの理解を深めてくれた
「幸いなことに私たちには共通点がたくさんありました。ファッション、家具やインテリアに興味があり、旅行が好きで食べることも大好き。彼の紹介してくれる友達はみんな素敵な人たちだったし、私たちが紹介する人と彼も親しく接することができた。これはお互いを理解し合ううえでとても大きかったと思います」
特に3人のあいだで共通の話題となるのはライフスタイルにかかわるアイテムについて。服は人が装うためだけではなく、その人のアイデンティティを表現しながらより快適に過ごすためのものとして捉え、その延長線上にあるものとして、生活空間を彩るアイテムを自らの感性に従ってセレクトすることを3人はとても大切にしている。
AMITが3年の月日をかけて完成させた、この対談の舞台にもなっている自宅を次回の記事では細かく紹介していく。
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インドとPasandの物語 Vol.1 –20年続くパートナーシップの萌芽–
photography: Akemi Kurosaka
text: Pierre la Roche