UPALAのジュエリーができるまで【前編】
2022.12.02
UPALAのジュエリーができるまで【前編】
デリーから南西に約260km、車で5時間走り続けると世界遺産にも登録されている「ピンクシティ」と呼ばれる街が現れる。サンスクリット語で「宝の石」という意味を持つUPALA(ウパラ)のジュエリーは、この美しい街ジャイプールが生産の拠点。古くはマハラジャ、マハラニに仕えたジュエラーが、州内で採掘された宝石・貴金属を使ってジュエリーを造っていたこの場所で、今はどのようにモノ作りが行われているのか取材しました。
輝きをチェックしながら
原石をピックアップ
古くからジュエリーづくりが盛んなジャイプールでも、ラフと呼ばれる原石のカットからフィニッシュ工程までを一貫して作業できる工場は珍しい。その技術力と設備を持つ工場とパートナーシップを組んでいるからこそ、すべて天然石と18金YGで製造されるUPALAのジュエリーの高いコストパフォーマンスを実現している。
リングに使用するレインボームーンストーンの原石。透明感のある色合いのなかに、ブルーの輝きが潜んでいる。ひとつひとつ確認しながら、リングに嵌める石を選定していく。
今回製造過程を追ったのは、レインボームーンストーンが9つ連なるデザインのリング。原石を選んだあとは、どのような工程が待っているのか…。
この道20年の職人が繊細に石をカット
8歳のころから自宅で原石のカットやポリッシュを始めたという職人をして、最も難しいと話すのが石をカットする工程。電動で回り続ける機械と指の隙間はごくわずか。非常に高速で回っているところに石をあてて削るため、石が熱を持って割れる可能性も。それを防ぐために水をあてながらカットしていく。
さらに、石には割れやすい方向があるため、ひとつひとつ石の性質を丁寧に見極めながら不純物の混じった箇所を取り除く作業が続く。
美しく青く輝く部分だけが切り出されたレインボームーンストーンが並ぶ。ここからリングのデザインに合わせてさらに石を削っていく。
溶かしたまつやにに石をセットし、冷まして器具に石を固定する。なんども石の角度を変えながら電動で回るやすりにあてて細かく成形を繰り返す。
ラフからリングにセットできる状態まで削った石を一列に並べてみると、その手仕事の細かさと完成されたリングの貴重さがわかる。
原石を削り終えたら、
地金に接着する工程へ
工場のオーナー自ら担当することも多いのが、最終のピッキング。リングのサイズと厚みを考えて、今回の商品用に9つの石を選ぶ。ラフの状態の石からつくっているからこそ、この瞬間にも地球のエネルギーを感じるのだそう。
独特の透明感を持ちながら深く青に輝く石が9つ並んだ姿は圧巻。次回は、この石がどのようにリングにセットされるのかを公開していく。
制作過程を追う記事の後編はこちらから
photography & video : Anna Miyoshi (TRON)
text: Pierre la Roche