Technic Vol.4 Tape Embroidery / テープ刺繍
2023.02.10
Technic Vol.4 Tape Embroidery / テープ刺繍
Pasand(パサンド)を支えるインドの手仕事を紹介するこの企画、今回取り上げるのは「テープ刺繍」。このテクニックは今期のSara mallikaのアイテムにも使われている伝統的な技術で、デザインに立体感を生んでくれます。テープ刺繍を10年以上担当している熟練のスタッフが仕上げていく様子をご覧ください。
刺繍はすべて職人の手作業
この日テープ刺繍を担当していたのはマシュリさん。この技術をはじめて10年以上のベテランだが、刺繍部分を仕上げるのに1時間はかかるという。その手元を覗いてみると、その繊細な作業の全容が見えてくる。
まずはデザインに合わせて縁取るようにテープを縫い付けていく。このアイテムの場合は、正方形が4つ並ぶようにテープを配置。
テープの内側をくり抜くように手でカット。4つの窓があらわれる。
服の縫製をおこなうフロアではbrother社製のより近代化されたミシンを使っているこの工場にあって、テープ刺繍を行っているこの一画だけは古くからあるミシンで仕事をしている。現代のミシンよりも低速駆動なので、より職人の思い通りに縫うことができる。
熟練のスタッフによる
フリーハンドのミシン使いは圧巻
生地の下にトレーシングペーパーのようなものをセットして、そのうえに先ほどのデザインを刺繍していく。ペーパーのうえにデザイン画を描いてなぞるように刺繍しているのかと思いきや、完全なフリーハンドで作業が進んでいく。
この工程で職人の仕事は完了。この生地とペーパーを水につけると、白い紙は溶けてなくなり、刺繍だけが残る。こうして完成するのが、「テープ刺繍」のアイテムたち。
経験を積んだベテランでもこの一着のサンプルを作るのに1時間。それだけの技術と時間がSara mallikaの一着には詰まっている。
photography: Anna Miyoshi (TRON)
text: Pierre la Roche