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Technic Vol.18 Hammer Work/ハンマーワーク

Technic Vol.18 Hammer Work/ハンマーワーク

「トンカントンカン」…。小気味のいい音が聞こえてくるのは、ニューデリーの都心部から南へ1時間30分ほど移動した先にあるファクトリー。Pasand(パサンド)が展開するアルミ素材の花器やトレイを生産しています。プレゼントにもふさわしい、軽くて扱いやすいアイテムが生まれる背景とは…。


スタートはまっさらな アルミの板から

インド北部では日常的に使われている銀食器。そのなかでもエンボス加工が施されたものは、歴史的にも特別な場面で使用されてきた。加工はもちろん職人の手作業。軽くて持ち運びが便利なPasand(パサンド)のトレイも花器も、元はまっさらなアルミの板。まっさらなアルミの塊をハンマーで叩くことで、洗練されたデザインへと成形していく。

エンボス加工用の象嵌が先についたハンマー、アルミを曲げるためのペンチ、そして成形するために叩くハンマー…。驚くほど精密な仕上がりで並ぶアルミ素材のアイテムのすべては、これらのアナログな道具から生み出されている。

今回見せてもらったのは花器の制作風景。まずは一枚の平らな板を叩くことで底の部分を成形していく。最終的に底の部分になる中心に近いところは「トントントン」と低い音が、端にいくほど「カンカン」と高い音が室内に響き渡る。

ある程度の丸みを帯びてきた段階で、ぐるりとエンボス加工を施していく。ここまでの作業はハンマーだけを使う。アルミの塊を職人が文字通り腕ひとつで製品に仕上げていく。


職人のハンマーワークによって 1枚の板は生活を彩るアイテムに

花器の胴体にあたる部分は、一枚の四角い板を丸めて端と端をバーナーで熱して溶接する。ガスの香りが漂い、炎の温度は660度にまで上がる。

開口部はペンチで外側に開き、ハンマーで叩いて丸く整えていく。叩いては熱し、叩いては熱しを繰り返すことで、1枚の無地だった板は少しずつ特別な意味を持つアイテムへと姿を変えていく。

底の部分と胴体部も高温で火をあてながら溶接。さらに全体にエンボス加工を施した後は、ポリッシュのパートへと作業が引き継がれる。機械を使ってディテールを整え、美しいフォルムを完成させたら最後の作業へ。

叩いて熱することで生まれる細かい埃を取り除いていく。出荷前の最終的な磨きの工程は、手作業で何度も繰り返される。

シンプルながら、エンボス加工のワンポイントがアクセントになってくれる花器は、落としても割れず、軽いので持ち運びも簡単。普段使いしてもらえる母の日の贈り物として、きっと喜んでもらえるはず。

photography: Akemi Kurosaka
text: Pierre la Roche

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