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Technic Vol.11 Block Print / ブロックプリント

Technic Vol.11 Block Print / ブロックプリント

インクを載せた木製の版を布に押し当てていくことで柄をデザインするブロックプリント。ひとりの職人が1日作業を続けても30mほどにしかならない、とても原始的なプリント技法と言えます。それでもPasandには、この技法を取り入れたアイテムがたくさんラインナップされているのです。手作業だからこそのズレやにじみ。人間にしか作るのことのできない特有の味わいが生まれる瞬間に立ち会いました。


職人が手で版を押す度に 布にデザインが生まれる

一説では紀元前3,000年にはその原型がインドに存在していたとされるブロックプリント。おそよ20cm四方の木版をインクにつけては布に押し当て、またインクをつけては布へと印刷していく。当然木の塊を彫って柄を作るところから職人の手仕事。色とりどりのインクは作業場の一角にまとめて置かれ、その日作業する洋服のデザインに合わせて職人が手元に用意していく。


どれだけ正確な仕事でも 生まれる“ズレ”が特有の味わいに

青、黄色、オレンジ、複数の色を重ねることで独特の表情を生み出すことができるのもブロックプリントの魅力のひとつ。現場で見ていると驚くほど正確で緻密に版が押されていく。それでも人間の手で作業が進んでいく以上、ミリ単位のズレやにじみが生じる。どれだけ洗練されたデザインのアイテムでもPasandの服に温かみがあるのは、こんなところに秘密があったのかと納得する。

職人のエプロンは、幾重にも重なったインクが白いキャンバスに飛び散ったかのよう。一度版を押したら再度インクに版を浸し、目の荒いガーゼで漉して均一に印刷できるように調整しながら作業を進めていく。


アナログな技術だからこそ 生まれるストーリーがある

1日に1人の職人が作業できるのはだいたい30m。マシンを使えば数百メートル単位でプリントすることのできる現代に、インドの伝統的な技術が残り、そして私たちがデイリーに着用するアイテムに使われていることの不思議さを思う。Pasandのワンピースの奥には多くの職人がいて、さらには彼らに仕事を伝承してきた先人たちがいる。1枚の洋服を見ればこんなにもワクワクするストーリーに想いを馳せることができるのも、ハンドメイドの魅力のひとつだと感じた。

photography: Anna Miyoshi (TRON)
text: Pierre la Roche

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