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Technic Vol.10 Crochet / クロシェ編み

Technic Vol.10 Crochet / クロシェ編み

フランス語で「かぎ針」を意味するクロシェ(Crochet)。先端が鍵のようなフックになっている編み棒1本と糸、そして職人の両手のみで編み進めていく、アナログで手仕事の魅力にあふれた技術です。ne Quittez pasでも定番として展開されているかぎ針編みのバッグが完成するまでを追いました。


女性の両手が紡ぎ出すバッグ

以前紹介したマクラメ編み同様、クロシェ編みもインドでは家族や地域社会のなかで世代から世代へ伝承されている。この日制作工程を見せてくれた女性も、ラージャスターン州ムザファナガル村出身。今も生まれ育ったヴィレッジで暮らす。早速クロシェ編みの実演を依頼すると、スツールに腰掛けメタリックスレッドを必要な分だけ巻き取っていく。

1本のかぎ針を素早く動かし始めると、見る見るうちに細い糸がバッグの形状に変化していく。すでに8年以上の経験を持つ彼女は、約4時間でひとつのバッグを完成させる。


職人の技術も細かく分業され専門的に

バッグの本体を作り終え、編み地にタッセルを通すところで彼女の仕事はひととおり。ここからストラップやメダルプレートを付けるのは別の職人の作業となる。

ストラップを付けるパートの職人に手渡しでバッグを託す。

写真の向かって左側が、それぞれのバッグにストラップを付けているところ。

また別の職人が、ブランド名が刻印されたメダルプレートを手作業で装着していく。スマホポシェットとしても使える小さなバッグの裏側には、専門の領域を持った3人の女性たちの高度な手仕事が潜んでいる。


シンプルな技法だからこそ職人技が光る

針に糸を通してループを作り、それを組み合わせて模様を編み上げていく。そんなシンプルな作りの分、細部に目を凝らせば職人の技や個性が見えてくる。こうして丁寧に作られたアイテムこそ、毎日持つのにふさわしいバッグなのかもしれない。

photography: Anna Miyoshi (TRON)
text: Pierre la Roche

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